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授業レポート③|「ビジネスプラン」亀川 雅人 教授/平田 博紀 教授/八木 麻衣子 教授

2025.10.11

こんにちは!2024年度秋期入学生の小名木晴美です。

私は現在、医療法人に勤務し、医療・福祉を支える立場として現場目線を活かしながら、より良い組織運営やマネジメントに力を注いでいます。今回は福祉医療の課題をビジネスモデルへと昇華する実践型授業「ビジネスプラン」(亀川雅人教授/平田博紀教授/八木麻衣子教授)のリポートをお届けします!

■「ビジネスプラン」とは

研究科では、1年次必修科目として「ビジネスプラン」を開講しています。この授業は、福祉医療の現場で直面する課題をテーマに、経営学という共通言語を基盤としながら、事業をビジネスモデルとして立案・発表する実践的なカリキュラムです。

授業では、まず教員からデータ分析手法や事業計画書の作成方法についてレクチャーを受けます。その後、45名でチームを組み、各メンバーの知識や実務経験を活かしながらディスカッションを重ね、事業の方向性を決定します。

チームごとにマーケット調査、販売計画、事業収支、リスク分析などを行い、現実的かつ実現可能な事業計画へとまとめあげていきます。授業の最終日には、各チームが完成させたビジネスモデルを発表します。限られた時間の中で培った企画力・分析力・プレゼンテーション力を競い合う場であり、院生にとって大きな成長の機会となります。

■ 現場から生まれた疑問が出発点

私たちのチームは、私が所属する病院を題材に「医療機関と小規模福祉施設をつなぐ役割を担う事業」を企画しました。このテーマを選んだ背景には、授業の数日前に私が実際の仕事を通じて感じた課題がありました。それは、小規模施設では医療的な支援が必要な利用者に対し、十分なサポートができていないのではないか、という疑問です。

現在、リハビリ・口腔・栄養は高齢者ケアの重要な柱とされ、認知症予防の観点からも必要性が叫ばれています。にもかかわらず、小規模な福祉施設では専門職の確保が難しく、十分なケアを提供できない現状があります。特に、施設の立地や規模によってサービスの質に差が出ることは、利用者にとって大きな不利益となります。加えて、十分な医療支援を受けられない施設は選ばれにくくなり、結果として淘汰される可能性もあります。

■ チームで磨かれる発想と実行力

そこで私たちは、医療専門職が小規模施設に対し訪問支援を行う仕組みを考案しました。これにより、地域の医療・福祉の連携を強化し、必要な人材を育成するとともに、地域包括ケアシステムの推進にも寄与できると考えたからです。

事業計画を作成する過程では多様なバックグラウンドを持つメンバーとディスカッションを重ねるなかで、新たな気づきを得る機会が多くありました。また、積極的な役割分担や相互のフォローにより、資料作成や調査がスムーズに進み、それぞれの強みを生かした協働の力を実感しました。各自が持つ知識や経験を活かし、自然とフォローし合う動きが生まれたのも、このチームの大きな強みでした。


■ 学びを現場に還元するために

今回の経験を通して、課題を自ら見つけ出し、それを社会的意義のある事業に結びつける姿勢を学ぶと同時に、多職種協働による幅広い視点の大切さも改めて感じました。一つの目標に向かってチームメンバーが協力することで、より良いものを生み出せると実感するとともに、この経験が自分自身の理念を深める機会になったと考えています。 

 

この記事を書いた人

小名木 晴美(おなぎ はるみ) さん 
医療法人勤務 | 栄養士 | 法人理事(2024年度 秋期入学)

短期大学卒業後、一般企業に勤務したのち栄養専門学校に入学。卒業後は現医療法人へ転職し、栄養士として勤務したのち、同法人で経理・総務人事・法務など幅広い業務を経験しながら通信制大学で学びました。現在は、事務長兼法人理事として、現場の視点を生かし、より良い組織運営とマネジメントの実践に力を注いでいます。