【福祉医療マネジメント研究科】髙橋淑郎教授「介護医療院の役割と経営問題を考える」オンライン公開授業を開催しました
本学大学院福祉医療マネジメント研究科特任教授高橋淑郎先生によるオンライン公開授業「介護医療院の役割と経営問題を考える」 が11月8日(土)13時より開催されました。
■介護医療院の役割と現状
長期療養用の為の医療、看取りやターミナル等の医療機能、医学的管理のもとにおける介護や日常生活上の世話といった介護機能を兼ね備え、在宅として見なされる医療機能を内包した施設系サービス提供施設として、介護医療院は2018年に創設されました。
厚生労働省は「新たな地域医療構想」で、2040年(団塊ジュニア世代が65歳以上になる)を見据えた医療・介護体制に対応をするべく、介護医療院の役割として多様なニーズへの対応が期待されるとしています。そして介護医療院によって、生活と医療を両立させる多機能拠点として、「地域包括ケアシステム」を強化する狙いがあります。しかし、現状では、介護医療院は「生活の場」とは程遠く、まだまだ病院という認識が根強い状況であり、また在宅復帰機能についても困難な状況が見えてきており、むしろ「看取り」機能の重要性が増しているという現実があります。
高齢化が進む中、医療費の増大化への抑制策として、これまでの病院中心から地域・住まい中心へのシフトが政策的にされています。医療と生活の機能をもつ介護医療院は生活施設としての役割をどう果たしていくのか、が問われています。厚生労働省は「地域に開放され、連携させる介護医療院」ということを求めていますが、地域交流やボランティアに取り組む余裕がないのが現状です。
■介護医療院をめぐる経営課題と今後の展望
介護や看護の深刻な人材不足、収支の見通しが立ちにくい経営不安、地域との連携不足などが大きな課題として挙げられます。介護医療院が総合的に成功するためには情報共有、デジタル化をすすめること、医療と介護のハイエラキー意識をなくすこと、などが重要となってきます。科学的介護の推進、人員配置基準の柔軟化、介護報酬改定における賃上げへの対応など、経営基盤の安定化をはかることで、地域包括ケアシステムにおける生活機能と医療機能を併せ持つ施設として機能していくことが望まれると思われます。
最後に、国は、介護医療院への転院を「在宅復帰」に含めることで、病院は在宅復帰率を達成しやすくしました。この緩和策によって、病院は介護医療院との連携を強化し、患者の受け皿を確保できるようになります。病院にとって経営に大きなプラスに作用します。
また、今回調査した介護医療院(+病院)は、すべて「人手不足」が大変であることが示されています。人手不足によって、将来の本体の病院の経営を考えて閉院した介護医療院もありました。日本の医療と介護が融合する中で、人手不足は経営に致命的と指摘されました。
以上、高橋先生の詳細な事例研究を基にした公開授業をご報告しました。当日は50名以上の参加者があり、介護医療院の経営問題に関心を寄せる方々が多いことを実感いたしました。
福祉医療マネジメント研究科 鳥羽美香