2025年12月2日 外国語学部 髙橋舞准教授の授業に『しがまっこ溶けた~詩人桜井哲夫との歳月~』の著者 金正美氏が登壇しました
2025年12月2日、外国語学部「哲学」(担当教員:髙橋舞准教授)の授業で、学生にとって”生きる意味”や”自身の生き方”について考える機会としてもらうことを目的に、『しがまっこ溶けた~詩人桜井哲夫との歳月~』の著者 金正美氏(エッセイスト、字幕制作ディレクター)を特別講師としてお迎えし、自身の著書タイトルと同テーマにて、ご講話いただきました。
金氏は19歳の時、群馬県草津町にあるハンセン病療養施設「国立療養所栗生楽泉園」を訪れ、詩人桜井哲夫氏と出会い、祖父と孫娘のような交流を続けてきました。今回の講話では、桜井氏のハンセン病が発病してからの半生や、金氏が学生時代に桜井氏に出会ってからの交流の様子などについて、具体的なエピソードをもとに金氏自身のリアルな心境の変化等も含めて、詳細にお話しいただきました。

授業に参加した学生たちからは、以下のような質問が寄せられました。
「桜井氏はなぜ多くの孤独に耐えられたと思いますか」
「桜井氏の遺した言葉で特に印象に残っているものは何ですか」
「金氏の家族から療養所に行くことへの反対や感情の変化はありましたか」
「桜井氏が生前よく仰っていた”ありがとう”という言葉に何を感じましたか」 など


これらの質問に対し、金氏は桜井氏とのエピソードを交えて回答。「桜井氏は孤独に対して、すべては”無”、喜びも寂しさも、この世のものは有ると思うから有るのであり、無いと思えば寂しくはない、と語っていました。そして、”すべてのことを環境のせいにしない”という言葉を遺し、どこにいても自分の気持ち次第で世界とつながることができる、とポジティブに考える方でした。差別は社会にあるのではなく、それを作り上げている私たち個々人の中に存在します。当初は親の反対もありましたが、家族も変わらないと世の中も変わりません」と語りました。
さらに、授業の最後には金氏から「悩み事があると、自身が納得できる言葉を探して早く解決してしまいたいと思いがちですが、悩み続けて紡ぎ出された言葉や答えは皆さん自身の生きる知恵になります」というメッセージが送られ、学生たちにとって、差別の考え方や自身の生き方を見つめ直すきっかけとなる、貴重な機会となりました。