2017年3月6日(月)開催 「岩槻『現代版裃雛(かみしもびな)新商品発表会』」をレポートします!【本郷キャンパス:学生記者】
大学2017.03.31
こんにちは、学生記者の渡辺です。新年を迎えたと思っていたらもう3月。春の兆しが見えてきたこの頃ですが、「雛祭り」にちなんで今回は2017年3月6日に行われたさいたま市で行われた「岩槻の『現代版 裃雛』新商品発表会」に参加したので、レポートしていきます。
<会場の「さいたまプラザノース」(写真上)とオリジナルの裃雛(写真下)>
この発表会は、本学経営学部の学生が岩槻人形協同組合と行った「現代版 裃雛」の発表会です。2016年3月、本学と岩槻人形協同組合が協力協定を締結して実施した第2弾プロジェクトです。江戸末期から大正時代にかけて関東の庶民の間で愛された日本人形「裃雛」を現代の若者の好みに合わせリメイクするというコンセプトで作られました。そのため本学の学生は、本来の裃雛と同じく「人々が人形に願いを託す」という人形文化を現代に受け入れられる姿形で復活させることを目標として活動していたと言います。
<写真:成果発表中の本学学生>
リメイクをするにあたって重要視されたのは、
・ストレス社会に優しく寄り添う「ゆるくてかわいい人形」であること
・頑張った後の素の表情が出ているような「居眠り姿」であること
・持ち主が自分の気持ちを投影しやすいよう「目を閉じている」こと
の3つです。しかしこれらの条件を満たすためにはいくつもの壁をクリアする必要がありました。居眠り姿の自然な猫背を演出するために内部構造を変えたり、様々な塗装を試してみたりと、いくつも試作品を作り理想の形を追求していきました。
学生と伝統工芸士の方の数々の模索の末、出来上がった完成品はこのようになりました。
<「現代版 裃雛」(写真上)と「オリジナル版」(写真下)の比較>
着物等も新たにデザインしたものを使用しているこの現代版 裃雛は頭を垂れている姿がなんとも可愛く、取材後写真を確認してみると、なんと当日撮った写真の4割が裃雛の写真でした・・・。
<写真:岩槻人形協同組合 新井会長(右から2人目)、本学 工藤学長(右から1人目)と学生の集合写真>
発表会の後、本学の工藤学長にお話をお聞きしました。
渡辺:何故「裃雛」をリメイクすることになったのですか?
工藤学長:岩槻人形協同組合が設立100周年を迎え、通年で販売できる新たな商品を開発したいという願いがあり、
岩槻人形の元祖といわれて今は作られていない「裃雛」に白羽の矢が立ったのだときいています。
渡辺:なるほど。では、この「伝統工芸品の再生」という活動がどのようにして学生の学びになるとお考えですか?
工藤学長:伝統工芸士と学生が膝を突き合わせて1つの商品づくりを行うということはあまりない機会だと思います。
そして、自ら企画・開発した商品を、今後セールスに至るまで考えていきます。この実践的な環境の中で
こそ、社会に出てから本当に役立つ学びが得られるのです。私たちはこれをアクティブ・ラーニングと
呼んでいます。
渡辺:素晴らしいですね!現代の価値観を職人の方と共有するだけでなく、学生の学びの機会も増えるということです
ね。ありがとうございました。
私にとっても、今まで日本人形に触れる機会は雛祭りのみで、ましてやその人形たちがどのような想いや意味を込めて作られていたかを考える機会など全くありませんでした。誰もが「大切にしなければならない」と漠然と思いつつも興味を持ちにくい「日本人形」という存在に真正面から向き合い、それを現代に受け入れられるようかわいく、暮らしに溶け込む人形として復活させた彼らを見て、自分もなにかと正面から向き合いたくなるような、そんな取材となりました。
プロジェクトに参加された学生3名は埼玉県在住でもあり、もともと地域の雛祭りで日本人形に慣れ親しんでいたこともあって、この企画も楽しんで行えたと満足げな表情でした。今回取り上げた「現代版 裃雛」は、約1年後の発売を目標として現在も試行錯誤を続けています。これを読んでいるあなたが誰かの家でこの現代版 裃雛を見かけるのも、そう遠くない未来の出来事かもしれません。
取材・記事執筆■学生記者 渡辺 祐(外国語学部2年)
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