国際交流センター

留学体験談

【タイ】GCI語学・異文化理解留学レポート② 2025

【留学先】  タマサート大学(Thammasat University)
【学 部】  人間学部 心理学科  
【期 間】  2025年8月8日~9月5日          

【氏 名】  Mさん(留学時:1年生)


はじめに 

タイで生活する中で、タイには親切な人が多いと感じる場面が多くあった。日本もまた外国人からの評価として「親切」であることを上げられることが多い。だが、同じ親切でも日本には無い温かみを感じた。この温かみを深掘りしてみると、日本人が取り入れるべき寛容さと積極性がタイにはあることが分かった。そして、日本がこれから国際社会に進出していくにあたり、学ばなければいけない精神をタイの人々は持っていると考える。 

 

タイ人と日本人 

タイの人々は積極的に人と関わろうとする意識を感じた。実際、私が売り場で困っている様子を見せたとき他のお客さんが英語で話しかけてくれたことがあった。一方、日本人は通常困っている人を見たとき自分から声をかけに行くことは一般的ではない。遠慮や多数派が選択において優先されると考えられる。 

  

サービスの違い 

日本では「おもてなし」の精神が強みであると観光業や文化的な側面で強調される。タイでも、サービスの質は高く、日本に劣らないと感じた。しかし、これには決定的な違いがあると考える。それは、「人との距離感」である。日本人は接客のルールに伴った丁寧な接客をするが、少し堅苦しく、壁を感じるような接客であると感じる。一方でタイの接客は「Where are you from? 」と気軽に話しかけられたり、「You look like a Thai」と親しみを込めて話してくれたりと、フレンドリーで距離感の近い接客が印象的だった。 

  

生活環境の違い 

タイでは屋台が立ち並んでおり、日本人からしたら衛生状態が気になることがある。しかし、タイ人の友人に聞いてみたところ屋台で食べ物を買うのは一般的で毎日利用しているらしい。そんなタイの生活に欠かせない屋台文化では、他人の生活を垣間見ることができる。他人を身近に感じられる文化であり、人々の距離感を縮める役割を果たしているのではないかと考えた。 

 

タイのあいさつ「ワイ」 

タイでは「コップンカー」「サワディーカー」といった挨拶の際に合掌をする。これを「ワイ」というのだが、私たち外国人からしてみても「ワイ」をされることで相手からの誠意を感じる。というのもワイのあと必ず相手からアイコンタクトがあるからだろう。日本人の場合、会釈が一般的だが、この際に目の合わない人が多い。挨拶の面でも日本人は希薄さを感じさせる行動をいることが分かった。 

  

異文化交流の価値 

自分が生まれ育った環境だけで生活していると気が付けない非言語コミュニケーションの大切さや他国を知ることは難しい。異文化に触れ、自国を見つめ直すことで、今までとは別の角度から文化に影響される国・国民性を知ることができる。 

 

タイ人から見た日本人の特徴と改善法 

タイ人から日本人を見たとき自己主張をあまりしない人、堅苦しい人という印象がある。日本人の集団間では積極的な発言・行動が好まれないわけではなく、むしろ好印象である。しかし、日本人の集団内では積極性の方向を間違えてしまうと悪い意味で注目の的とされる。これには、日本の和の文化が起因となっていると考えた。日本人が国際社会で活躍するには、集団の枠を超えて、自分の意見を持ち、行動することが求められる。 

 

タイ人の「マイペンライ」の強み 

タイの文化を語る上で、「マイペンライ(気にしない・大丈夫)」の精神は重要な基盤となる。この「マイペンライ」という他人の失敗に対する柔軟さ「寛容さ」により、タイ人は、失敗を恐れずに行動できるのではないかと考える。この挑戦に前向きな姿勢は社会が発展するために必要である。 

 

寛容さは国際社会で生きるための鍵 

国際社会で生きるためには、「寛容さ」が大切であることに気が付いた。この考えは、UNESCOが制定した、11月16日「国際寛容デー」にも反映されており、他者を尊重し、受け入れることの重要性を再確認する日とされている。寛容さがあることで、人々は人に合わせ過ぎず自分らしい生き方ができる。これは、国際社会においてとても重要である。 

 

寛容さの難しさ 

寛容とは他人との違いを受け入れることである。しかし、寛容であればあるほど自分を見失いがちであると私は考える。自己の軸がはっきりしないことには社会で自分の意見を主張することは難しい。寛容さにある違いを受け入れることには、自分の中にそれを取り込むのではなく、違いを違いとして認識し学ぶ姿勢が必要であると考える。また、寛容さの許容範囲を定めることは大切で人の尊厳を奪うような意見は批判的にとらえる必要もある。互いの異なる価値観の共有が国際社会を発展させるためには必要であると考える。 

 

まとめ 

寛容とは他者を受け入れるだけでなく、自分自身の軸を持ちながら違いを尊重する姿勢であることを学んだ。タイでは、単に親切なだけではない人の温かみを感じる国である。そして、国際社会で必要な寛容な精神と積極性を持ち合わせており、これからの日本が国際社会でより良い人間関係を築くためには形式的な親切さだけでなく、こころを通わせるコミュニケーションを取り入れていく必要がある。