鳩山会館
鳩山会館 (はとやまかいかん)
鳩山家が音羽の地に居を構えたのは明治24(1891)年の秋であった。洋館は内閣総理大臣(第52~54代)を務めた鳩山一郎が大正13(1924)年に建てた私邸で、平成8(1996)年6月1日に修復工事をし、現在の鳩山会館となった。設計は、大正・昭和初期を代表する建築家として知られる一郎の友人の岡田信一郎(1883~1932)の手による。
鳩をモチーフにしたステンドグラスは、日本を代表する工芸家、小川三知の作品である。また、綺麗に手入れされた英国風の庭園には90種160株もの薔薇が植えられており、季節ごとに妖艶な花々が咲き誇り、幻想的な景色が繰り広げられる。


【建物と人の物語】
鳩山家は、衆議院議員に選出された和夫(1856~1911)、総理大臣となった一郎(1883~1959)、外務大臣をつとめた威一郎(1918~1993)、衆議院議員の由紀夫(1947年生れ)、邦夫(1948年生れ)、と四代にわたり指導的な政治家を輩出してきた。この洋館を建てたのは二代目の一郎で、ここを舞台に、戦後政治の画期となった自由党(現在の自由民主党)の創設が計られ、また首相として決断した日ソ国交回復の下準備も行われている。
設計を手掛けたのは一郎の友人で、大正・昭和初期を代表する建築家として知られる岡田信一郎である。大正13(1924)年当時としては珍しい鉄筋コンクリート造りの洋館は、アダムスタイル[1]の応接室やイギリスの邸宅を思わせる外観などを擁し、見どころが尽きない。岡田信一郎は、大正、昭和初期に活躍した建築家である。「様式の天才」といわれていて、和洋いずれのスタイルでもすばらしい手腕を見せ、若い頃から才能が認められていた。中央公会堂コンペでは、29歳の若さでなみいる先輩建築家を抑えて一等当選を果たした。彼の遺作となった東京丸ノ内の明治生命館は明治10(1877)年以来、西欧の建築を追い続けてきた日本における様式建築の到達点を示すものであったと同時に半世紀にわたる様式建築の歴史に終止符を打った建築でもある。それほどにすばらしい作品を残した建築家であった。しかし病弱であったために一度も海外へ出かけることができなかった。多くの先輩や同僚が、本場の建築をめざして出かけていくのを見ながら、岡田は日本で研鑽するしかなかったのだ。だがその本物を一度も見ることができなかった彼が、様式建築の最高傑作を残すという偉業を成し遂げた。
また、鳩をモチーフにした煌びやかな装飾を手掛けたのは、大正から昭和にかけて活躍した工芸家の小川三知である。彼の作品は洋館の随所に施されている。 日本のステンドグラスは関東大震災、第二次世界大戦により多くを失ってしまった。 そのため彼の作品は現存する作品が少なく高く評価されている。小川三知は設計者岡田信一郎の教え子である。東京美術学校で日本画の橋本雅邦の教えを受け、明治27(1894)年卒業。明治33(1900)年に渡米する。そこからステンドグラスの道に入り、ティファニーで修行を重ねてアメリカ流ステンドグラスの手法を習得した。明治44(1911)年に帰国し、慶義塾大学図書館のステンドグラスを手始めに成熟期のステンドグラス界をリードし、全国から注文に応えていった。昭和3(1923)年に亡くなった、大正13(1924)年に完成した鳩山会館のステンドグラスは彼の最骨頂の作品といえる。
[1] アダム様式(アダムスタイル)とは、18世紀後期のイギリスで活躍した建築家ロバート・アダムと、そのアダム兄弟たちによって生み出された様式。古典主義を取り入れた優美で軽快な構成が特徴的で、建築や室内装飾のほか、家具や食器、調度品など広く用いられた。直線的な外観と明るい色で18世紀後半から19世紀の建築史を決定づける様式ともいえる。
左から順に 建築家の岡田信一郎 工芸家の小川三知 鳩山一郎



【住所】
〒 112-0013 東京都文京区音羽1-7-1
【URL】
https://www.hatoyamakaikan.com/
【アクセス】
東京メトロ有楽町線 「護国寺」駅 5番出口 鳩山会館・正門まで500m 徒歩 約8分
東京メトロ有楽町線「江戸川橋」駅 2番出口 鳩山会館・正門まで450m 徒歩 約7分
都営バス「上58」(上野松坂屋~千駄木~千石~早稲田)
音羽一丁目バス停 徒歩1分
【会館日】
開館: 毎週 火曜日〜日曜日
※月曜日 但し、祝日の月曜は開館し、翌日は休館します。
1~2月と8月は休館し、資料整理、修繕を行います
【会館時間】
10時~16時 (※ご入館は15:30までにお願い致します。)
【料金】
大人 800円
シルバー 700円 (65歳以上)
障がい者 600円 (同伴者1名)
学生 600円 (高校生以上)
小中学生 500円
団体 20名以上 各料金100円引き
【時代・年代】: 大正13年 (1924年に建築)
【雑学(映画などのロケ地)】
NHKドラマ (2014年) 『花子とアン』 葉山伯爵邸(お見合いシーン)として登場。
TBSドラマ (2005年)『花より男子』 三条桜子の住む屋敷につくしがお見舞いに行くシーンに登場。
NHKドラマ (2007年)『ハゲタカ』 サンデー・トイズの社長・大河内瑞恵の大河内邸として登場。
フジテレビドラマ(2012年)『リッチマン、プアウーマン』 主人公の日向徹が昼食会を開催したシーンに登場。
NHKドラマ(2024年)『虎に翼』 桜川涼子の家として登場
アニメ:編集
TBSアニメ(2011年) 『THE IDOLM@STER』 9話に登場
TBSアニメ(2016年)『少年メイド』 千尋と円の屋敷のモデルとなった
NHKアニメ(2021年)『ラブライブ!スーパースター!!』 葉月恋の自宅のモデルとなった
【参考文献】
伊藤隆之,2012, 「ビジュアル資料 明治・大正・昭和 西洋館&異人館」『1 個人住宅・領事館・異人館』 グラフィック社
大阪文化財ナビ https://osaka-bunkazainavi.org/?post_type=glossary&p=8191









