国際交流センター

留学体験談

【タイ】GCI語学・異文化理解留学レポート②

【留学先】  タマサート大学(Thammasat University)
【学 部】  外国語学部 国際ビジネスコミュニケーション専攻  
【期 間】  2023年8月13日~9月9日          

【氏 名】  A・Yさん(留学時:1年生)


出国前

留学先にタイを選ぶことに不安がなかった訳ではなく、実践的な英語力も無く、特にスピーキング能力に自信の無かった私は事前にタイの英語力について調べていた。そもそもASEAN内で教育水準が低いとされるタイだが、教育格差問題が顕著なようで首都であるバンコクは富裕層が多いため、質の高い学校が集中しているとの事だった。そしてタイ人は英語が堪能であるという文献はあまり見当たらず、首都バンコクとは言えど、英語教育のレベルは日本とさして変わりなく、また英語能力ランキングサイトによると日本よりも劣っているとの事だった。また、事前打ち合わせでもタイ人の英語は決して上手いという訳ではなく、文法や単語が違っていたり、訛りがあったりするため日本と英語力に差はあまり無いと話を聴いていたため、それならばスピーキングに自信がなくとも、文京学院の英語講義内容が理解出来るならば留学してもきっと大丈夫だろうと信じ、タイへ留学することに決めた。

タイでの暮らし

バンコクはタイの首都なだけあって豊かな地域であり、渋滞や屋台の多さには驚くもののバンコクでの昼間は日本でも見られそうな雰囲気であり、治安が悪そうな様相はあまり感じられなかった。しかし、夜になればその印象は一変。特に印象に残ったのはカオサン通りであり、レストランやバーから信じられないほどの爆音でダンスミュージックが鳴り響き、ディスコと化した通りには多くの人で溢れていた。酒に酔い道中で寝てしまった人、スリ、ゴミを漁る人、大麻を売りつける人、客引きなど様々であり、絶対に夜が更けてから観光客1人で来ては行けない場所なのだと肌で感じた。また、街中では制服を着た私たちより年下であろう現地の子供とたくさんすれ違う一方、少しマーケットや屋台の集まる場所へ行くと小さな子供たちが、たどたどしい英語を使って必死に観光客に買って欲しいと懇願し、お金を稼いでいるところを見た。自分が売ったのだからお小遣いにしてくれと親に頼み込むも結局お金を取られてしまっているところも見た。多くの子供たちが学校帰りで制服を着ているというのに、歳近いであろう子供は必死にお金を稼いでおり、ここでタイの経済格差を目の当たりにした。

街中での英語力

コンビニや観光地ではタイ語はもちろんのこと、英語、中国語、韓国語、日本語、様々な言語が飛び交っているが観光客と思われる人々の殆どはレジでは英語で店員の方と会話をしていた。そこで行われる会話の殆どが流暢な英語では無かったが、わかりやすい単語で、かつ相手に伝えようと工夫して互いが喋ろうとしているのが窺えた。観光客の集まるショッピングモールでは店員さんは英語で接客をしてくれたが、流暢ではあるもののやはりタイ訛りがあるため、聞き取れなかったり、逆にこちらの英語を聞き取ってもらえなかったりすることも多々あった。しかし、屋台やタクシー、トゥクトゥクなどでは思うようにはいかず、英語で相手と会話が出来ない体験を何度もした。「This one please」さえ通じなかった時はさすがに驚いてしまったが、簡単な英単語すらも理解してもらえず、本当に困った時にはジェスチャーや翻訳アプリで何とか乗り切っていた。都心部から離れれば離れるほどこの傾向が強くなり、経済格差と同様に教育格差も感じる機会となった。

大学内での英語力

大学では一コマ3時間の授業。英語でタイ語を学ぶため、あまりの情報量の多さに何度も脳が破裂しそうになった。最も講義中に驚いたのは日本人以外の留学生の英語力だった。母語が英語ではないだろう国の人々でも問題なく英語を使って話していたのだ。タイでの授業は突然指名されたり、近くの人とグループを組むよう指示されたりとコミュニケーションを取らなくてはいけない場面が多々あった。そのような場面に遭遇すると多くの日本人留学生は英語を喋ることを躊躇していたし、文京学生以外の日本人留学生でも流暢に英語を話せていた人は居なかったように思う。しかしタイ人を含め、他の留学生のほとんどは驚く程に流暢だった。ここで改めて日本の英語学習の遅れを感じ、危機感を覚えた。

最後に

留学する前は外国人と話すことに抵抗が少なからずあったが、現地でたくさんの人々と話すことが日常になるにつれ、特に抵抗なく話すことが出来るようになった。タイ人のみならず、多くの留学生とも交流することで、メジャーなイギリス英語、アメリカ英語ではない各国の訛りやクセのある英語に直に触れ、単なるリスニング能力だけでなく、会話の流れから単語を予測する能力が鍛えられたように思う。また、ほとんどの学生が富裕層であるタマサート大学に通いながら、街に出ると経済面、教育面の大きなギャップを目の当たりにし、経済・教育格差社会について興味を持った。実際に自分の目で現実を見ることが出来たことがとても貴重な経験となり、今後の糧となった。

↑夜のカオサン通りの様子

午後8時台にはすでに酒場になっており、昼間とは全く違う雰囲気。人が多くかき分けないと前に進めないほどの人混み。客はほとんどが観光客であり、スリや押し売りなどの危険を恐れ、多くの現地民は夜にはここに訪れないと聞いた。