【福祉医療マネジメント研究科】オンラインパネルディスカッション「リハビリ専門職とマネジメント~理学療法士のキャリアデザインを考える~」を開催しました
去る10月4日(土)16時~18時、本学大学院福祉医療マネジメント研究科では、オンラインパネルディスカッション「リハビリ専門職とマネジメント ~理学療法士のキャリアデザインを考える~」を開催しました。
■基調講演:「経営企画室からみた リハビリ職種の展望」
本学卒業生であり文京学院大学大使でもある鈴木大介氏(社会医療法人至仁会 経営企画室課長・介護事業部課長・訪問リハビリテーション管理者・理学療法士)による基調講演からスタートしました。
鈴木氏は、ご自身の理学療法士としての経験を振り返りつつ、理学療法の面白さを発見してきた歩み、そしてその経験を経て現場から経営企画へと移り、管理職として組織運営に携わるまでの経緯を紹介されました。
講演では、人口動態×需給推計×PEST 分析という枠組みを用いながら、「どのようにすればコスト効率の高いセラピストになれるか」「その仕組みをどう設計するか」という観点から考察が示されました。加えて、理学療法士が利用者を第一に考えているにもかかわらず、組織から十分な評価を受けられない背景には何があるかを問い直し、問題は組織の外ではなく、組織に所属する一人ひとりが変革を起こしていくことにある、という提起がなされました。
■「療法士キャリアパス構築の必要性と課題」
続いて、院生であり訪問看護ステーションに勤務する理学療法士でもある佐藤雅哉氏が登壇しました。
佐藤氏は、理学療法士の「需要を上回る供給」の現状を挙げ、特に訪問領域での離職率が高い問題を提示しました。また、医療機関の経営環境が厳しさを増すなかで、介護や在宅領域へのシフトが進行していることを背景に、改めてキャリアパス構築の重要性を訴えました。業務の可視化、組織力の強化、そして専門性の継続的発展につながる取り組みが求められるとの指摘でした。
■「理学療法士の研修システムを考える」
最後に、院生であり医療法人メディカルフロンティア東京脊椎クリニックに勤務する理学療法士である渡邊祐介氏が登壇しました。
渡邊氏は、日本理学療法士協会の現状をふまえつつ、新人理学療法士が卒業直後に抱える “職場になじめるか否か”“コミュニケーションの取り方”などの不安を指摘しました。社会人基礎マナーや臨床で求められる知識・技術において不足を感じる場合もあることから、養成校卒業直後からの継続教育の充実、研修システムの整備が不可欠である、との見解を示されました。

■パネルディスカッションと今後の展望
3名の発表を受けて、パネルディスカッションへ移行し、参加者からも多くの活発なご意見をいただきました。
議論では、今後の医療機関戦略に即した人材育成の必要性、リハビリ専門職間で生じる役割や格差、さらにはジェネラリスト的な役割の可能性についての考察が交わされました。また、キャリア教育のあり方を医療機関内にとどめるのではなく、地域や産業保健分野への展開という観点も重要ではないか、との意見が示され、非常に充実した討議となりました。
ご参加くださった皆様に心より御礼申し上げます。
(福祉医療マネジメント研究科 鳥羽美香)