オンライン公開授業 八木麻衣子特任准教授「メディカルスタッフ経営学」実施報告
4月23日(火)、八木麻衣子先生による「メディカルスタッフ経営学」のオンライン公開授業が開催されました。
八木先生は、医療分野におけるエビデンス・ベースド・メディシン(EBM)と同様に、経営学にもエビデンス・ベースド・マネジメント(EBMgt)が当たり前になりつつあると述べました。臨床は「医学」や「看護学」に基づく実践科学であり、臨床マネジメントは「経営学」に基づく実践科学と位置づけられます。つまり、より良い診療や医療提供体制を実現するためには、経営理論の活用が不可欠であるということです。
一方で、医療専門職がマネジメントを実践するにあたり、何から手をつければよいか分かりにくいという課題もあります。そのため、理論を現場に落とし込み、「実践」として試すことが重要です。頭で考えた理論を実際に試し、結果をもとに改善を図るというサイクルが求められます。特にマネジャーにとっては、アウトプットの技術を磨くことが不可欠です。
現状分析には、PEST分析(マクロ視点)やマトリックス分析(ミクロ視点)といったフレームワークの活用が有効です。また、経営理論を使う際の基本姿勢として、クリティカル・シンキング(批判的思考)の重要性も指摘されました。しかし同時に現場スタッフの協力なくして、マネジメントは成り立ちません。マネジャーは、周囲が納得し「腹落ち」できる言葉を持ち、現場を動かす力、すなわち「人間力」も求められます。
最後に八木先生は、「理論を学び、実践し、結果を評価する」というサイクルを繰り返しながら、現場での経験を積み重ね、応用力を養っていくことの大切さを強調され、講義を締めくくられました。
当日の参加申込みは、看護師、理学療法士、社会福祉士など、医療・福祉分野の専門職46名にのぼり、理論と実践の架け橋となる経営学への関心の高さがうかがえました。
福祉医療マネジメント研究科
鳥羽美香